スーパーの名札から名字が消える理由——店員の不安と新たな試み

時事

「あの、すみません。山田さん、山田さんですよね?」

私は先日、都内のスーパーで驚くような光景を目にした。客が女性店員の名字を何度も呼び続け、その様子をスマホで撮影しようとしていたのだ。店員は困惑した表情を浮かべながらも、必死に笑顔を保とうとしていた。

この出来事をきっかけに、スーパーの店員の名札について取材を始めた。すると、想像以上に深刻な問題が見えてきた。

「名前を覚えられて、SNSに書き込まれるのが怖いんです」
都内のスーパーで働く20代の女性は、声を震わせながら打ち明けた。

実は今、スーパーの店員の名札から名字が消えつつある。2024年11月、大手スーパーチェーンが10店舗で「名字なし名札」の試験運用を開始。その背景には、SNSの普及による個人情報の拡散リスクがあった。

ある店舗では、店員の名札を無断で撮影され、「今日のレジ係の○○さん可愛かった♡」などとSNSに投稿されるケースも。一見無害に見える投稿だが、これを機にストーカー被害に発展したケースもあるという。正直、怖くなってきた。

試験運用の結果はこうだ。

実施時期対象店舗数主な従業員の反応
2024年11月10店舗精神的に安心できる
2025年2月全国展開予定トラブル回避につながる

「機械的な接客になりそう」という懸念の声もあるが、私は違うと思う。そもそも、スーパーで買い物をする時に店員の名前なんて気にしていただろうか? 丁寧な接客は、名前を知らなくてもできるはずだ。

他のスーパーやコンビニでも、同様の動きが広がっている。ある大手コンビニチェーンの店長は「時代の流れですよ」と話す。確かに、プライバシー意識が高まる今、フルネームの名札が必要だという考え方こそ、古いのかもしれない。

取材を通じて感じたのは、接客業の現場で働く人々の不安だ。彼らの多くは、自分の名前が知られることで起こりうるリスクを常に抱えている。そんな状況を、私たち客は本当に理解しているだろうか。

名札から名字が消えることは、ある意味で寂しい。でも、それ以上に大切なのは、店員が安心して働ける環境作りだと思う。「お客様は神様です」という言葉が独り歩きする中、従業員の権利や安全がないがしろにされてきた現実がある。

今回の取り組みは、その「当たり前」を見直す第一歩なのかもしれない。

(取材・文:みゆき/21歳)

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「男性客が名字を連呼」「SNSに書こうか?」スーパー店員の名札、名字やめました 首都圏チェーンの取り組みに「他社も続いて」

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