「時給10円」の米農家と12週連続のコメ高騰──私が見た日本の食卓の危機

曇り空の下、広大な田んぼに立つ伝統衣装の日本人コメ農家が稲束を抱え、物憂げな表情を浮かべている。背景には米価の上昇を示すグラフが薄く重なり、農家の経済的苦境を象徴している。 時事

こんにちは、21歳のルポライターかずみです。ここ数ヶ月、私は日本各地の農村を回り、米農家の実態を取材してきました。正直、取材を始める前は「お米は日本の誇り」くらいの軽い認識でした。でも、現場を見て、農家さんの声を聞いて、衝撃を受けました。今、日本の「お米」をめぐる状況は本当に深刻なんです。

「時給10円」で働く人々——取材で見た農家の現実

先月、新潟県の中山間地域にある小さな集落を訪れました。そこで出会った佐藤さん(64歳)は兼業農家として50年以上米作りを続けています。

「計算したくないけど、もし時給に直したら…たぶん10円くらいかな」

佐藤さんは苦笑いしながらそう語りました。私は最初、冗談だと思いました。でも、彼の作業日誌を見せてもらうと、年間労働時間と収益を計算した結果、本当に時給10~30円程度になることがわかったんです。

朝4時起き、機械の点検、水管理、草取り、猛暑の中での肥料散布…。それなのに年間収益はわずか100万~150万円。これが日本の米農家の現実なんです。

取材を通じて、農家が直面している問題点が見えてきました:

  1. 資材コストの急上昇: 肥料は前年比+38%、農薬+25%、燃料+42%も上がっている
  2. 販売価格の低迷: 小売価格は上がっても、農家の手取りには反映されない
  3. 異常気象: 豪雨や猛暑で収穫量が安定しない
  4. 高齢化と後継者不足: 若者はほとんど戻ってこない
  5. 販売ルートの限定: JAに依存せざるを得ない現状

「農業は副業でしょ」という世間の認識も、農家さんを苦しめています。でも、これって本当におかしいと思いませんか?私たちの主食を作る仕事なのに、「職業として成立しない」と見なされているんです。

12週連続の米価高騰——そのカラクリ

一方で、消費者である私たちは米価の異常な高騰に直面しています。スーパーでお米を買おうとすると「えっ、こんなに上がったの!?」と驚くことありませんか?

私が通っているスーパーでは、5kgの袋が2ヶ月前より800円も高くなっていました。ニュースでは「12週連続値上がり」と報じられていますが、その理由は単純な「不作」だけではありません。

取材を進めるうちに見えてきたのは、以下のような構造的な問題です:

  1. 確かに収穫量は減少していますが、それ以上に**中間業者の”出し渋り”**がある
  2. 政府が備蓄米を放出すると発表したことで、逆に業者が市場在庫を絞った
  3. コロナ後の外食産業回復で業務用米の需要が急増
  4. 卸売段階での価格調整(はっきり言えば吊り上げ)

米価上昇の流れはこうです:

2024年10月:猛暑と干ばつ → 収穫量減少
↓
2024年12月:輸入米価格の上昇
↓
2025年1月:卸売業者が買い控え
↓
2025年2月:備蓄米放出発表
↓
2025年3月:市場価格は逆に上昇

これを見て思うのは、誰かが状況を利用して儲けているんじゃないか、ということ。私はこの仮説を確かめるため、流通業者にも取材を試みましたが、多くは「ノーコメント」でした。なぜでしょうか?

備蓄米放出の「失敗」——何が起きたのか

2月に農水省が発表した備蓄米21万トンの放出。これは市場の8%を占める大規模なものでした。政府は「これで価格は安定する」と言いましたが、私たちが実際にスーパーで目にしたのは、さらなる値上げでした。

なぜ効果がなかったのか?私は複数の流通関係者に取材し、こんな答えを得ました:

「備蓄米が市場に出回るまでに1~2ヶ月かかります。その間に価格はさらに上がりました。」

「実は備蓄米のほとんどは家庭用ではなく、業務・加工用に回されるんです。だから、スーパーの米価には影響しにくい。」

「業者は備蓄米が出ると聞いて、逆に自社在庫の出荷を絞りました。結果、市場の米が減って価格が上がった。」

私はこれを聞いて愕然としました。政策が逆効果になるなんて。何のための備蓄米なんでしょう?

かずみ
かずみ

“備蓄米で安心”かと思ったら、

逆に値上がりとか…本末転倒すぎるよね

「誰が儲けているのか?」——流通の闇

米価は上がっているのに、なぜ農家は貧しいままなのか?

答えは流通構造にあります。私は流通の現場も取材しました:

[農家] → [JA] → [卸売業者] → [精米業者] → [小売業者] → [消費者]

各段階での利益配分(推計)はこうなっています:

段階利益(kg当たり)
農家約150円
JA約50円
卸売・精米約100~150円
小売約200円

つまり、農家は全体利益のたった20~25%しか得ていないんです!これは明らかにおかしい。

ある農家は私にこう語りました:「自分が汗水垂らして作ったお米が、どんどん値上がりしているのに、自分の収入は増えない。これが日本の食を支える人の現実なんです。」

これからどうすればいいの?

私が取材を通じて見つけた、希望の芽はあります。

1. 自立する農家たち

秋田県の若手農家・田中さん(28歳)は、SNSでのブランディングと直販に成功していました。

「Instagramで田植えから収穫までの過程を発信したら、ファンがついてきたんです。今は自分で価格を決めて直接販売できるようになりました。」

田中さんはkgあたり500円という適正価格で販売し、安定した収入を得ているそうです。

2. 農政の課題

農政も見直しが必要です。特に:

  • 補助金申請の複雑さ(「書類書きに1週間かかる」と嘆く農家も)
  • 若年層支援の一貫性のなさ
  • 中山間地域へのデジタル農業導入支援の不足

私が一番感じるのは、農業を単なる「産業」ではなく、地域社会を支える基盤として捉え直す必要があるということです。

3. 私たち消費者ができること

実は私たち消費者にもできることがあります:

  • 適正価格でお米を買う(安すぎるお米には疑問を持つ)
  • 地元の農家を応援する(直売所を利用する)
  • ストーリーを持つ商品を選ぶ(誰が、どう作ったか)

私自身、この取材を通じて、お米の買い方を変えました。少し高くても、生産者の顔が見える米を買うようになったんです。

かずみ
かずみ

安ければいい”じゃなくて、

“誰がどう作ったか”を選ぶ時代なんだよね

おわりに:これは私たち全員の問題

この問題を取材しながら、私はずっと考えていました。「日本人の主食を作る人が時給10円」というこの現実を、私たちはどう受け止めるべきなのか。

安いお米を求める私たち、その圧力に応えようとする小売業、利益を追求する流通業者、そして支援が届かない行政システム。誰が悪いというより、この構造全体が問題なんです。

でも、この問題は解決不可能ではありません。生産者・流通業者・消費者・政府が一体となって取り組むべき時です。

最後に、新潟の佐藤さんの言葉を引用して終わりたいと思います:

「お米は日本の心。これを作り続けることは、ただの仕事じゃない。日本の文化を守ることなんだ。」

私たちの食卓に毎日並ぶお米。その一粒一粒に、こんな現実と思いが詰まっていることを、ぜひ覚えておいてください。

(かずみ/21歳・ルポライター)

今がわかる!トレンド&ニュースナビ

生活一覧 経済

「時給は10円」コメ農家が訴える窮状 コメ価格“12週連続”高騰…備蓄米放出も値下がりしないワケは?

※※関連記事※※
TBS NEWS DIG
「時給は10円」コメ農家が訴える窮状 コメ価格“12週連続値上がり”
農水省が発表したコメ価格の12週連続値上がりや、農家の窮状について報じています。

文化放送 大竹まことゴールデンラジオ
「時給10円で働く人間はいません!」米価高騰と米農家の現状
米価高騰や農政の問題点を経済アナリスト森永卓郎氏が解説しています。

ベストカレンダー
米の価格高騰の背景と賢い購入法を解説します
米価高騰の要因や家庭への影響について詳しく説明しています。

現代ビジネス
農家の時給はなんと驚愕の「10円」!?…森永卓郎さんが問題視していた「日本の農家の貧困化」
農家の収益構造や補助金政策に関する詳細な分析があります。

テレ朝news
スーパーのコメ平均価格 12週連続値上がり 農水省
スーパーでの平均米価が12週連続で値上がりしている現状を報告。

KHB東日本放送
備蓄米放出決定も米の価格高騰が続く
備蓄米放出後も価格が下がらない理由について解説。

名古屋テレビ(メ~テレ)
スーパーのコメ平均価格 12週連続値上がり 農水省
備蓄米放出とその影響について報じています。

「時給は10円」コメ農家が訴える窮状 コメ価格“12週連続”高騰…備蓄米放出も値下がりしないワケは?

備蓄米放出でも“コメの価格”下がらない?

「令和の百姓一揆」 農家がデモ「時給10円」 

コメ農家 #米価高騰 #農業危機 #備蓄米 #食料問題 #農業政策 #日本の食卓

コメント

タイトルとURLをコピーしました