【超深掘りルポ】コアラ700匹「安楽死」の真相…単なる悲劇じゃない!オーストラリア火災が残した”複雑な現実”と私たちの課題

森林火災で焼けたオーストラリアの森の中、黒く焦げた枝に座る一匹のコアラ。その背後には煙が立ち込め、希望を象徴する朝日が昇っている。 動物

みなさん、こんにちは。21歳のルポライター、みくです。今回は心が締め付けられるような重いテーマについて書いています。

「コアラ約700匹を殺処分」

この見出しを初めて目にした時、私は思わず息を飲みました。正直、何度も読み直してしまったんです。あの愛らしいコアラが、それも700匹も…「殺処分」って。

でも、本当に大事なのはこの見出しの先にある複雑な真実なんです。感情だけで終わらせるのではなく、背景にある現実を知ることが、私たち一人ひとりに問われているように思います。

実は先月、オーストラリアから帰国したばかりなんです。学生時代から環境問題に関心があって、自分の目で見たかったんですよね。そこで見た風景や出会った人々の言葉が、この記事に込めた私の思いの原点になっています。

まず事実を確認しましょう

報道によると:

  • 時期: 2020年から2021年にかけて実施
  • 場所: オーストラリア南東部、ビクトリア州の南西部にあるケープ・オトウェイ地域
  • 内容: 合計686匹のコアラが、州政府当局や獣医師の判断によって**「安楽死」**させられた
  • 公表: 2023年7月に報道機関によって明らかにされた

重要なのは「殺処分」ではなく「安楽死」だということ。これは単なる言葉の言い換えではありません。報道によれば、対象となったコアラたちは深刻な飢餓状態に陥り、病気も併発し、極度に衰弱していて、獣医学的に見て回復の見込みが立たない状態だったそうです。

オーストラリアで出会った野生動物保護センターのボランティアの方は、「最後の選択肢だった」と涙ながらに話してくれました。その方の表情は今でも忘れられません。

なぜこんな事態に?ブラック・サマーの爪痕

全ての始まりは、2019年後半から2020年初頭にかけてオーストラリア全土を襲った大規模森林火災「ブラック・サマー」でした。

私が訪れたのはそれから数年経った後でしたが、焼け焦げた木々がまだ残っていて、現地の方は「あの日々は地獄だった」と何度も口にしていました。

被害規模を数字で見てみましょう:

オーストラリア森林火災 被害状況 焼失面積:日本との比較 日本の国土面積の 約半分に相当する 約1900万ヘクタール オーストラリア 広大な焼失面積 野生動物への影響 被災した野生動物: 約30億匹 コアラの被害: 数万匹以上 ※回復には数十年以上かかると言われている地域もあります ※経済損失は数百億豪ドル規模に及びます 出典:WWFオーストラリア等の推計データ

この表を見ると身が震えます。私がオーストラリアで出会った現地の方たちも口をそろえて「あの規模の火災は前代未聞だった」と言っていました。

逃げ場なき過密地獄

火災で広大な生息地が焼け野原になった結果、生き残ったコアラたちはどうなったのでしょうか?

彼らには選択肢がありませんでした。燃え残ったわずかな「安全地帯」に逃げ込むしかなかったのです。その一つが、今回の舞台となったケープ・オトウェイ地域でした。

この地域はもともとコアラの生息密度が高かったところ。そこに周辺の被災地から逃げてきたコアラたちが押し寄せたのです。

私がオーストラリアで話を聞いた野生生物研究者は、「まるで難民キャンプのような状態だった」と表現していました。彼の眼には深い悲しみが浮かんでいたのを覚えています。

ケープ・オトウェイ地域の状況はこうでした:

ケープ・オトウェイ地域 コアラの過密状況 火災前の状況 ヘクタールあたり10匹を超える高密度 すでにユーカリへの食害など生じていた 火災後の状況 周辺から流入し、極端な過密状態に 食料(ユーカリ)の枯渇、栄養失調、衰弱 過密による影響 主要な食料(マナガムなどのユーカリ)の枯渇 コアラの飢餓、栄養失調、衰弱 ユーカリの再生能力を超えた採食圧 州政府等の対応(2020-2021年) 健康診断と評価 健康な個体を他の地域へ移送 回復不能と判断された個体の安楽死(686匹) 安楽死はあくまで最終手段。移送と並行して実施。 ※ケープ・オトウェイ地域のコアラ過密問題(2020-2021年対応) 出典:州政府およびWWFオーストラリアの報告データ

過密状態はエサ不足を引き起こしました。コアラは特定のユーカリしか食べない偏食家。そのユーカリが枯渇したら、生きる道はなくなります。

「コアラの鳴き声を聞いたことはありますか?」と現地のレンジャーが私に問いかけたのを思い出します。「彼らが飢えや痛みで鳴くとき、その声は忘れられない」と彼女は言いました。その言葉が胸に刺さりました。

コアラという生き物の脆さ

私たちが「かわいい」と思うコアラですが、実は非常に特殊で繊細な生き物なのです。

  • 超偏食家! ユーカリオンリー: 数百種類あるユーカリの中でも、食べられるのは数十種類だけ。さらに特定の種類しか好まないグルメっぷり。
  • 動きがスロー: 地上での動きは鈍く、火災などの危険から素早く逃げることができない。
  • 繁殖ペースがゆっくり: 通常1年に1匹の赤ちゃんしか産まない。メスが性成熟するまで2~3年かかる。
  • 病気に弱い: 特に「コアラクラミジア」が深刻。ストレスで発症・悪化しやすい。

オーストラリアのアデレードでコアラ保護施設を訪れた時、獣医さんが教えてくれたんです。「彼らは自然の中では強くない。だから私たちの責任は重大なんだ」と。その言葉がずっと頭から離れません。

みく
みく

あんなにのんびり可愛いコアラたちが、実はすごく脆くて繊細な存在だなんて…。守る側の責任、ほんと重いんだなって改めて思う…。

複合的な危機

ブラック・サマーだけがコアラを脅かしているわけではありません。日常的に進行している問題もあります:

コアラを脅かす主な要因 1. 生息地の破壊・分断 都市開発、農地拡大 森林の分断 2. 気候変動 気温上昇、熱波 森林火災リスク増大 3. 病気 コアラクラミジア コアラレトロウイルス 4. 交通事故(ロードキル) 生息地を横断する道路での 車両との衝突 5. 犬による攻撃 野犬や放し飼いの犬による 襲撃 6. 遺伝的多様性の低下 生息地の分断による 個体群の孤立 深刻度

オーストラリアを旅して一番驚いたのは、道路脇に「コアラに注意」の標識がたくさんあることでした。それだけ日常的に交通事故の犠牲になっているのかと思うと、胸が痛みました。

実際、オーストラリア政府は2022年に東部主要州のコアラを「絶滅危惧種(Endangered)」に指定しました。もう一段階上がると「近絶滅種」です。本当に崖っぷちなんです。

私たちにできること

遠い国で起きた出来事だけど、私たちにも関係があるんです。コアラの悲劇は、地球環境全体の問題の一部だから。

オーストラリアで出会った若い活動家の女性が、「自分には何もできないと思わないで」と言ってくれた言葉が忘れられません。彼女は地元の植林活動に毎週参加していました。

私たちにもできることがあります:

  1. 知る・伝える
    • 信頼できる情報を集める
    • 周りの人に話してみる
  2. 日々の選択を変える
    • サステナブルな消費を意識する
    • エネルギーの使い方を見直す
  3. 保護活動を応援する
    • 信頼できる保護団体に寄付する
    • ボランティアに参加する機会があれば積極的に
  4. 声を上げる
    • 環境保護に関する政策に関心を持つ
    • 署名活動などに参加する

私も今は小さな植林イベントを学生たちと企画しています。オーストラリアで見た現実を忘れないために。本当に小さな一歩だけど、何もしないよりはいいと思うんです。

終わりに

「コアラ約700匹の安楽死」という衝撃的なニュース。その裏には、ブラック・サマーという未曾有の災害、過密と飢餓、そして苦渋の決断がありました。

これは他人事ではありません。私たちの生活様式や消費行動が、回り回って地球の反対側の生き物たちの命に影響を与えているのです。

オーストラリアで出会ったある先住民の方が言っていた言葉が忘れられません。「地球上の全ての命は繋がっている。一つの種が危機に瀕すれば、それはいずれ全ての種に影響する」と。

この記事が、コアラや野生動物の現状について深く知るきっかけに、そして何より、私たち自身の生活と地球環境との繋がりについて考えるきっかけになれば嬉しいです。

未来は変えられる。そう信じて、今日も私はペンを握ります。

大きな瞳とふわふわの耳を持つ可愛らしいコアラが、木の枝につかまりながらこちらを見つめている高画質の接写写真。繊細な毛並みや表情がはっきりと描かれている。

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オーストラリアWWF公式サイト
オーストラリア環境省(Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water)
Koala Conservation Australia

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