「今どきの居酒屋って、店員さんを呼ぶ機会がほとんどないよね」
先日、友人との飲み会でそんな会話が出た。確かに、最近行った飲食店の多くでQRコードを読み取ってスマホから注文するシステムが導入されていた。便利だと思う反面、何か物足りなさも感じる。この「スマホ注文」の波が、私たちの食体験をどう変えているのか、業界の内側に迫ってみた。
人手不足という切実な現実
「正直、スマホ注文がなかったら店を回せなかったかもしれません」
都内で居酒屋を経営する中村さん(仮名・45歳)はそう打ち明ける。コロナ禍以降、アルバイトの応募が激減。ホールスタッフが足りず、特に週末の混雑時には注文を取るだけで精一杯だったという。
スマホ注文の導入は、飲食店にとって単なる流行りではなく、生き残りをかけた戦略なのだ。人手不足を補い、少ないスタッフでも効率的に店を回せる。また、キャッシュレス決済の普及も後押しした。「注文から支払いまでをデジタル化できれば、店も客も手間が省ける」と語るIT企業の担当者の言葉に納得した。
メリットとデメリット──両面から見えてくるもの
利用者の声
メリット | デメリット |
---|---|
自分のペースで注文できる | 通信料がかかる |
メニューをじっくり選べる | バッテリーの消費が気になる |
感染症対策になる | 操作に戸惑う人もいる |
多言語対応で観光客も利用しやすい | 高齢者やスマホを持たない人が困る |
注文履歴を確認しやすい | 店員とのコミュニケーションが減る |
店舗側の声
メリット | デメリット |
---|---|
人手不足を補える | 高齢者やスマホ不慣れな客への対応が必要 |
注文ミスが減る | システム導入や維持コストがかかる |
人件費の削減につながる | Wi-Fi環境の整備が必要 |
顧客データを活用しやすい | トラブル時の対応が難しい |
外国人観光客の受け入れがスムーズに | 人と人との接点が減少 |
「便利だけど、なんか寂しい」。取材中、20代の女性客からこんな感想を聞いた。確かに、店員さんとの何気ない会話や、おすすめを聞く楽しさは減ったかもしれない。個人的にも、ラーメン屋で「硬さはどうしますか?」と聞かれるあの瞬間が好きだったりする。
一方で、「注文時に急かされる感じがなくなった」という声も。混雑時にメニューをゆっくり見られないストレスは確かに減ったようだ。
これからどうなる?思案のしどころ
スマホ注文は間違いなく広がっていくだろう。しかし、そこには課題も多い。
先日、高齢の親を連れて入った店で、スマホ操作に手間取る場面に遭遇した。店員さんはすぐに気づいて対応してくれたが、「デジタル格差」の問題は無視できない。
また、人間らしさをどう残すかという問題もある。ある焼肉店では「注文はスマホで、肉の説明は店員が」というハイブリッドな形を取り入れていた。こうした工夫が、今後増えていくのではないだろうか。
個人的には、テクノロジーは人を助けるものであってほしい。スマホ注文で効率化された分、より質の高い接客や、料理への情熱に力を注げるようになれば理想的だと思う。
終わりに
スマホ注文は間違いなく便利だ。でも、それが本当に私たちの食体験を豊かにしているかは、もう少し考える必要がある。
昨日、久しぶりに訪れた小さな定食屋では、店主が「いらっしゃい」と声をかけ、「今日のおすすめはサバの味噌煮だよ」と教えてくれた。そのひと言で決めた味噌煮は、想像以上に美味しかった。
テクノロジーは進化する。それを私たちがどう使いこなし、人間らしさと両立させていくか。その答えを探る旅は、まだ始まったばかりだ。
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