ALS女性嘱託殺人事件:元医師の控訴棄却、二審も実刑判決

事件

3月13日、大阪高等裁判所はALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者が嘱託した殺人事件で、共犯とされた元医師の控訴を棄却し、一審と同じ「懲役2年6か月」の実刑判決を下した。判決理由として「医師の立場を悪用し、人命を軽視した」と厳しく非難した。

医師が関与した「嘱託殺人」

ALSは神経が徐々に侵され、最終的に体がほとんど動かなくなる難病だ。意思ははっきりしていても、自力での生活が困難になり、介助なしには生きられない状況に追い込まれる。今回の事件では、そんな状況にあった女性が「尊厳死」を求め、2人の元医師に命を絶つよう依頼した。

依頼を受けた医師たちは薬物を投与し、女性を死亡させた。しかし、日本の法律では安楽死は認められておらず、この行為は刑法上の嘱託殺人罪にあたるとして起訴された。一審では懲役2年6か月の実刑判決が言い渡され、被告はこれを不服として控訴。しかし、大阪高裁は「生命を奪う権利は誰にもない」として控訴を棄却し、一審判決を支持した。

「医師の責務を逸脱」した行為

大阪高裁の判決では、医療従事者の責務についても強調された。「患者の苦しみを理解することは必要だが、それを理由に医師が生命を奪うことは許されない」と裁判官は述べた。

たしかに、ALS患者の苦しみは想像を絶するものがある。自分で食事ができない、話せない、呼吸さえも人工呼吸器に頼るしかない。そんな状況で「生きている意味がない」と考える人がいるのも無理はない。しかし、それを医師が手助けすることが許されるのか。高裁は「法と倫理の両面から慎重に対応すべきだった」とし、医師としての責任を問うた。

日本で「安楽死」は許されるのか?

今回の事件をきっかけに、日本国内で安楽死や尊厳死をめぐる議論が再燃しそうだ。現在、日本には明確な安楽死の法律はない。法整備がないままに、現場で医師が判断することのリスクが浮き彫りになった。

一方で、海外では安楽死や尊厳死が法的に認められている国もある。

世界の安楽死・尊厳死制度の比較

国名安楽死の合法性法律・条件
オランダ合法厳格な条件のもとで許可
ベルギー合法患者の明確な意思が必要
スイス合法自殺幇助は非犯罪化
アメリカ(州による)一部の州で合法オレゴン州などで認められる
日本非合法嘱託殺人罪・同意殺人罪が適用

欧米の一部では、厳格な条件のもとで安楽死が認められている。たとえばオランダでは、患者の意思確認を複数の医師が行い、苦痛が耐え難いと判断された場合に限り安楽死が許可される。スイスでは「自殺幇助」が合法だが、医師が薬を処方するだけで、患者自身が服用しなければならない。

日本では、現時点では安楽死が認められていないが、国民の間では「議論が必要」という声も増えている。今回の判決は、医療倫理や患者の自己決定権、法整備の必要性を考える大きなきっかけとなるだろう。

今後の議論に向けて

今回の事件の判決を受け、「法整備の不在が問題だ」という意見が多く出ている。医療の現場ではすでに「延命治療の中止」が議論されているが、それと安楽死とはまた別の話だ。

日本はこれからどうするのか。命の尊厳と、患者の意思の尊重。その間で揺れ動く議論は、まだまだ続きそうだ。

トレンドを追う!ニュース特急便

【速報】ALS女性嘱託殺人 共犯者の元医師の控訴棄却、二審も「懲役2年6か月」実刑判決 大阪高裁「知識と立場を悪用、人命をあまりに軽んじたもの」|YTV NEWS NNN
全身の筋肉が衰える難病のALSを患う女性に依頼され殺害した罪などに問われた元医師の裁判の控訴審で、大阪高裁は13日、元医師の控訴を退け、一審の京都地裁と同じ懲役2年6か月の実刑判決を言い渡しました。

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