
バターの世界へようこそ
こんにちは!27歳、都内の社員食堂でチーフを務めているシェフです。毎日100人以上の社員さんのお腹を満たす料理を作っていますが、今日は私の情熱の源、キッチンの魔法使い「バター」について語らせてください。
パリの小さなビストロで修行していた頃、朝5時から仕込みをするのが日課でした。真っ暗な厨房で眠い目をこすりながらも、バターの香りがふわっと広がった瞬間に「今日も頑張ろう」と思えたあの感覚が忘れられません。帰国して6年目、今でもその習慣は変わりません。
最初の頃は「溶かして使うだけでしょ?」なんて思っていた私。でも、フランス人のマルセル師匠から
「バターは料理の魂なんだよ、魂を大切にしない料理人にいい料理は作れない」
と叱られたあの日から、バターへの向き合い方が根本から変わりました。今では朝イチで出勤すると、まずバターの塊に触れて温度を確かめるのが日課になっています。
“バターは料理の魂”って言葉、マルセル師匠カッコよすぎる…
皆さんは発酵バターを使ったことがありますか?私は修行時代に出会ってから、すっかり虜になってしまいました。あの芳醇な香りと複雑な風味は、シンプルなクロワッサン一つでさえ、別世界の味わいに変えてくれるんです。でも正直、高価なので毎日は使えないのが悩みどころ…。週末の自分へのご褒美として、時々スーパーで見つけると思わず手が伸びてしまいます。
私のキッチンの必須バター4種
料理によって使い分けるのも大事なポイント。私の小さなアパートのキッチンには、いつも4種類のバターが常備されています。
- 有塩バター – 朝食の主役!先週末、大学時代の友達が遊びに来たときに、フランスパンに有塩バターを少し多めに塗って出したんです。すると「こんなに美味しいバタートースト食べたことない!」って目を輝かせてくれて。あの絶妙な塩加減がパンの甘みを引き立てるんですよね。
- 無塩バター – お菓子作りの相棒です。特にフィナンシェを作るとき、無塩バターを少し焦がして香ばしさを出す「ブールノワゼット」にすると、格別の風味になるんです。これ、うちのカフェの看板スイーツの秘密なんですけど…あなただけにこっそり教えちゃいます。
- 発酵バター – 私の転機となった運命の出会い。パリの小さなパティスリーで修行していた時、厳しかったマダムから「これを使いなさい」と渡されたのが発酵バターでした。初めて蓋を開けた時の芳醇な香りは今でも鮮明に覚えています。チーズのような複雑な風味があって、クロワッサン生地に折り込んだ時の香りといったら…もう言葉になりません。
- グラスフェッドバター – 最近の私のマイブーム。牧草だけで育った牛から取れる乳で作られていて、見た目も鮮やかな黄色が特徴的。朝のバターコーヒーに使うと、コクが全然違うんです。値段は少し張りますが、自分へのご褒美として週末だけ使っています。疲れた金曜の夜、このバターコーヒーを飲みながらゆっくり過ごす時間が至福なんです。
バターって、ただの調味料じゃなくて、一つの主役になれる素晴らしい食材。それに気づいてから、私の料理人としての視点が変わった気がします。
温度管理も本当に大切。パリのマルセル師匠は「バターの温度が料理の成功を決める」とよく言っていました。パイ生地を作るときは冷たいままのバターを使い、ソテーするときは決して焦がさない温度で。ちょっと面倒くさいと思うかもしれませんが、こういった小さなコツを知るだけで、料理の仕上がりが驚くほど変わってきます。

バターを美味しく長持ちさせる私流の保存法
バターの保存で一番悩ましいのは「硬くなりすぎる問題」ですよね。朝パンにバターを塗ろうとしたら、パンがちぎれちゃった…そんな経験、私もしょっちゅうでした。でも今は解決策を見つけたんです。
店の仕込みでも自宅でも、私は基本的にバターを小分けにして冷凍保存しています。200gのバターを50g×4つに切り分けて、それぞれラップで二重に包んでからジップロックに入れるんです。これが意外と大事で、一度適当に包んだら、1ヶ月後に解凍したバターが冷凍庫の匂いを吸ってしまって…せっかくの高級バターがもったいなかったです。あの日のマドレーヌは泣く泣く全部捨てました。
冷凍したバターは使う分だけ前日に冷蔵庫に移して解凍するか、急ぎの時は室温に30分くらい出しておくと丁度いい柔らかさになります。これなら風味も落ちにくいし、いつでもフレッシュな状態で使えるんですよ。
実家に帰ったとき、母が「バターってすぐカビが生えるのよね」と言っていて驚きました。よく見たら室温で保存していたんです!確かに柔らかくて使いやすいけど、特に夏は危険です。でも、冷蔵庫でカチカチになるのも困るし…そこで、バター専用の保存容器を買ってあげました。
これが思った以上に便利で。水を入れておくことで空気に触れず、室温でもカビが生えにくく、かつ程よい柔らかさをキープできるんです。今ではお店でもスタッフ用のパン用バターはこの容器に入れています。朝のスタッフミールが格段に美味しくなりました。
用途別おすすめバター

「結局、何を買えばいいか分からない!」そんな風にバターの棚の前で迷ったことはありませんか?私も昔、バター一つ選ぶのにずいぶん悩んだ時期がありました。でも、用途に合わせて選ぶポイントが分かると、毎日の料理やお菓子作りがぐっと楽しくなるんです。
パン好きのためのバタートーストを極める
朝、焼きたてのトーストにバターを塗る瞬間って、シンプルだけど特別ですよね。そんなトーストを最高に美味しくしてくれるのが、たとえば「エシレバター」。フランス産の発酵バターで、ほのかな酸味と濃厚なコクが特徴です。初めて使ったとき、普段の食パンがまるで高級ベーカリーの味になったのに驚きました。少し厚めに塗って、粗塩をパラッと振れば、もうカフェ気分。もしシンプルに楽しみたいなら、国産の「よつ葉バター」もおすすめ。クセがなくてパンそのものの味を引き立ててくれます。
料理に深みを加える風味豊かな一本
料理に使うなら、バターの個性が味を左右します。例えば、ステーキを焼くとき、私は「カルピスバター」をよく使います。乳味がしっかりしていて、仕上げに少量加えるだけで肉の旨みがぐっと引き立つんです。発酵バターだとちょっとクセが強すぎるかな、というときは「雪印メグミルク」の無塩バターが万能。和食なら、だしと一緒にじゃがいもを炒めるのに使ってみてください。バターの風味がほんのり効いて、いつもの一品がワンランクアップします。
お菓子作りで失敗しないための選び方
お菓子作りって、バター選びで仕上がりが全然違うんですよね。私がクッキーを焼くときに愛用しているのは「明治バター」。安定した乳脂肪分のおかげで、生地が扱いやすくてサクサクに仕上がります。一方、バターケーキやパウンドケーキなら、「グラスフェッドバター」を試してみて。ニュージーランド産のものが手に入りやすいんですが、牧草だけで育った牛のミルクから作られているから、香りが豊かで焼き菓子に深みが出るんです。初めて使ったとき、友達に「これお店の味だね」と言われて内心すごく嬉しかったのを覚えています。
用途別おすすめバター一覧表
用途 | おすすめバター | 特徴 |
---|---|---|
パンに塗る | 発酵バター | コクがあり、香りが豊かでパンと相性抜群 |
お菓子作り | 無塩バター | 塩分がなく、甘さを引き立てる |
料理・炒め物 | 有塩バター | 塩味が効いており、料理の風味をアップ |
ソース作り | 澄ましバター | 高温調理に向いており、焦げにくい |
ヘルシー志向 | 低脂肪バター | カロリーを抑えつつバターの風味を楽しめる |
種類別おすすめバター
バターの種類 | 特徴 | おすすめの用途 |
---|---|---|
無塩バター | 塩分がなく、お菓子作りや料理のアレンジに最適 | お菓子作り、ソース作り |
有塩バター | 程よい塩味が料理の風味を引き立てる | 料理・炒め物、パンに塗る |
発酵バター | 乳酸菌発酵による豊かな風味とコクが特徴 | パンに塗る、スイーツ作り |
澄ましバター | 水分と不純物を取り除いた高温調理向けバター | 炒め物、揚げ物、ソース作り |
低脂肪バター | 脂肪分を抑えたヘルシー志向の方向け | 健康志向の料理、軽い風味の料理 |
まとめ
バターって、ただの「調味料」じゃなくて、料理や暮らしにちょっとした幸せをプラスしてくれる存在だなと、最近つくづく思います。用途に合わせてバターを選ぶことで、毎日の食事がもっと楽しく、もっと美味しくなるはず。
私自身、まだまだバターについて学ぶことばかりです。時には失敗して落ち込むこともありますが、そういう経験も含めて料理の腕が上がっていくんだと信じています。
あなたも、ぜひ自分の用途に合ったバターを見つけて、試してみてください。迷ったら、とりあえずパンに塗ってみるだけでも違いが分かりますよ!バターとの新しい出会いが、あなたの食卓に小さな幸せをもたらしてくれますように。