正直に言います。私、淳子っていう名前でシェフやってるんですが、バターのことを語り始めると止まらないんです。友達からは「またバターの話?」って呆れられるレベル。でも、これだけは言わせてください。バター選びを適当にやってたら、もったいなすぎる。
母が倒れた時のこと、今でも鮮明に覚えてます。手術前日、母が弱々しく「淳子の作ったバタートースト、もう一度食べたい」って。私、そんなの作った記憶ないんですが…?
母が話してくれたのは、私が5歳の頃のこと。母が風邪で寝込んでた時、一人でバターをベタベタに塗ったトーストを作って持っていったそうなんです。バターが垂れて、母のパジャマがシミだらけになったって。

スーパーでいつもの雪印バター買いながら、なんか胸がぎゅってなって。バターって、味だけじゃないんだなって。思い出も一緒についてくるんだなって。
まず基本から!バターの種類、こう考えると分かりやすい
母のことがあってから、バターにハマった私。最初は種類の多さに圧倒されたけど、実はシンプルなんです。
塩が入ってるか、入ってないか 発酵してるか、してないか
この2つの軸で考えれば、バターの世界は見えてきます。
※200gあたり、私がよく行くスーパーでの価格(2024年時点)
農林水産省の食品成分表を見ると、バター100gで745kcalもあるんです。でも、ビタミンAは790μgも入ってる。視力維持に大切な栄養素です。要は、少量を上手に使えばいいってこと。厚生労働省の基準だと、1日10-15g程度が目安だそうです。
有塩と無塩、この使い分けができたら料理上手
有塩バター:忙しい日の味方

雪印メグミルクの公式サイトによると、有塩バターの塩分は約1.5%。これ、単なる塩味じゃなくて、保存性も高めてるんです。
私が有塩バター好きな理由:
- トーストに塗るだけで朝ごはん完成
- 野菜炒めの味付けがラク(塩とバターが一緒にできる)
- きのこソテーが間違いなく美味しくなる
無塩バター:お菓子作りの絶対ルール
これ、声を大にして言いたい。
お菓子作りには絶対無塩バター!
恥ずかしい話、昔彼氏の誕生日にガトーショコラ(ガトーショコラ作り方)作った時、有塩バター使っちゃったんです。結果…しょっぱいケーキの出来上がり。彼は「美味しいよ」って言ってくれたけど、明らかに困った顔してました。
製菓学校で習ったんですが、塩分がグルテンの結合を変えちゃうんです。レシピの計算が全部狂う。日本製粉の技術資料にも書いてありました。
発酵バターの衝撃!初めて食べた時のこと

普通のバターとの違い:
- ヨーグルトみたいな爽やかな酸味
- ナッツのような香ばしさ
- 口溶けが全然違う
製造工程を調べたら、クリームに乳酸菌を加えて12-16時間発酵させるんだそうです。その間に乳酸菌が作る成分:
これらが組み合わさって、あの独特な味になるんですね。
お菓子作りで失敗しないバターの温度管理

製菓学校で一番最初に教わったのが、バターの温度管理。
クッキー作り:冷た〜いバター(4-8℃) 理由→小麦粉のグルテンをバターの脂肪でコーティングして、サクサク食感を作る。
スポンジケーキ:室温のバター(18-22℃) 理由→砂糖と混ぜて空気を入れる「クリーミング」ができる温度
夏場のバター管理、本当に大変なんです。エアコンがない時代の職人さん、すごいなって思います。
焦がしバターで料理が劇的に変わった話
フランス料理店で働いてた時の話。シェフの焦がしバター(ブール・ノワゼット)作りを見て、震えました。
他の作業全部止めて、鍋に集中。音を聞いて、香りを嗅いで、色を見て。「バターは生き物だから」って言葉が今も耳に残ってます。
科学的には:
- 水分蒸発(100℃)
- 乳糖分解(120℃)
- メイラード反応(140-160℃)←ここが勝負
- 焦げる(170℃以上)←アウト
140-160℃の狭い範囲で、糖とアミノ酸が反応して、あのナッツ様の香りが生まれる。温度計なんて使わない。全部感覚。
その焦がしバターを舌平目にかけた時、お客さんの「うわぁ…」って声。料理って、こういうことなんだなって。
エシレバターとの出会い

同僚に「騙されたと思って食べてみ」って勧められたエシレバター。値段見てびっくり
(1200円!)。
でも、人生観変わりました。
フランス・エシレ村の厳格な基準:
- 村から半径30km以内の82軒の酪農家のみ
- 木製チャーン(バラット)製法
- 年間4000トンのみ(少ない!)
バゲットに塗って食べた瞬間、これまでのバターって何だったの?って。ヨーグルトの爽やかさと、深いコク。口の中でとろけて消えていく感覚。
AOP(原産地呼称保護)って制度、フランス農業省が認定してるんです。ワインと同じように、品質が国で保証されてる。すごい話ですよね。
スーパーで買える「いいバター」の見つけ方
毎日エシレは無理だから、スーパーで買える範囲で美味しいバター探し続けてます。
私のおすすめランキング
毎日使い部門 1位:雪印北海道バター → 安定の美味しさ、どこでも買える 2位:よつ葉バター → 十勝産100%、ミルキーな味 3位:明治北海道バター → 口溶け良し
特別な日部門 1位:カルピス特撰バター → 真っ白で絹のような口溶け(高いけど) 2位:よつ葉発酵バター → 発酵バター入門に最適 3位:小岩井純良バター → 香りが良い
グラスフェッドバターって何?
最近よく聞くグラスフェッドバター。牧草だけで育った牛のミルクから作るバターです。
アイルランド酪農協会のデータによると:
- β-カロテンが豊富(だから黄色が濃い)
- ビタミンEが通常の2倍
- オメガ3脂肪酸が5倍
ケリーゴールドが有名ですね。味は豊かなんだけど、後味あっさり。健康志向の人に人気です。
保存方法で味が変わる
バターの敵は、酸素・光・温度。
冷蔵庫の最適温度は1-4℃。冷凍食品協会のデータです。ドアポケットは温度変化が激しいからNG。
劣化のメカニズム:
- 脂肪酸の酸化
- 水分による加水分解
- 温度上昇で微生物増殖
密閉して、冷暗所で保存。基本ですが大事です。
海外のバターも面白い
アイルランド:ケリーゴールド グラスフェッドの代表。鮮やかな黄色が特徴的。
ニュージーランド:アンカーバター 業務用でもよく使われる、安定した品質。パイ作りにいいって評判。
イタリア:パルミジャーノバター 希少品。パルミジャーノレッジャーノ作る過程のクリームから作る。ナッツみたいな香り。
栄養面も考えてみよう
バターは高カロリー(100gで745kcal)だけど、脂溶性ビタミンA・D・Eが豊富。適量なら健康に良い面もあります。
日本人の食事摂取基準(厚労省)では、飽和脂肪酸は総エネルギーの7%未満推奨。バターなら1日10-15gくらいが目安です。
最後に
長々と自分の体験談ばかり話してしまいました。
でも、バターって本当に奥深いんです。単なる脂肪の塊じゃない。文化があり、歴史があり、職人の技術がある。
明日の朝、いつものトーストに、ちょっと違うバター塗ってみませんか?
スーパーで立ち止まって、パッケージを見比べてみませんか?
きっと新しい発見があります。そして、あなたの食卓が少し特別になります。
私の話が、あなたのバター生活の参考になったら嬉しいです。
※価格は2024年時点での私の住んでる地域のスーパー価格です ※健康面の情報は一般的なもので、個人差があります